048 朴念仁 [中伊豆・修善寺]
帰りは天城にあるお気に入りの桜を見るために
熱海から中伊豆を抜けて、修善寺へ。
お昼どこにしよう、とか何にも考えてなかったけど
思いついたのが蕎麦の朴念仁。
これまで何度も修善寺には来ていたけど、一度も寄ったことがなかった
■朴念仁 [蕎麦]
伊豆市修善寺町修善寺3451-40
0558-73-0073
石臼挽きの完全自家製粉と水にこだわりたいと
修善寺に移転してきたそう。
たまたまオフシーズン、平日の午後2時過ぎだったせいか
待つこともなくすんなり入店。
なぜかいぶかしげな顔をしたスタッフさんから
「混み合ったら相席をお願いしますので」と断りを入れられながら案内される。
昔旅館だった建物を改築したそうで、大きな広間に座卓がぽつぽつ。
座布団の数で20席くらいはありそう。
ネルは辛み大根をたっぷりのせた、と品書きにある「おろしそば」
A氏は「せいろそば」をオーダー。
壁に貼られた「玄そば一日20食限定」のお品書きに加え
「追加注文は30分以上お待ちいただきます…」
「店主一人でやっていますので時間がかかります…」
等の種々雑多な注意書きがあちこちに張られている。
お茶は韃靼そば茶。
あったかくておいしい。
出てきた おろしそば。
小ささに、シンプルさにびっくり!
水で打った十割らしいけど、蕎麦の味も香りもしない…。
大根の辛みだけが引き立っている。
A氏のせいろそば。
つゆは醤油の味が立って堅いというか…
おそらく蕎麦はネルのと同じ。
「ねえねぇ…」とA氏の悲しそうな声に…んんっ!
万一自重なら、せいろを2枚に分けて蕎麦同士の重なりを避ければ済むはずでは。。
ネルもA氏もまっとうな蕎麦店でこれは、初体験。。
A氏、ごめんね…(泣)
玉子焼きや桜えびかき揚げがおいしいらしいけど、
肝心の蕎麦がこれじゃあぁ
田舎屋風の雰囲気は悪くないし、修善寺らしい竹林脇の立地もいいし。。
でもね、お客さんや修善寺への愛情が伝わってこなかった。
(ネルは店にお客への愛情(思いやり?)を求めてる、ってことですね)
蕎麦通のお客さんも来るだろうけど
観光地で店を開く以上、ただお腹すいた、お昼なんでもいいけど的な
何の予備知識もない、ある程度の満腹感(カツ丼セット希望とかね)や
居心地の良さを求めてくるお客さんも多いはず。
店主のこだわりも大切だろうけど
開店して何年も経つならお客さんに合わせる、土地に合わせる的な
柔軟さ、感謝の気持ちがもっと伝わってきてもいいような…。
ただあの張り紙の数からして、これまでにお客さんとの色んなトラブルが多くて
既にお客さんとの関係性に失望してしまってるのかもしれない。
店主は東京にもう一件店を出してるらしいし、やっぱり東京のお客さんが好きなのかな。
熱海できちんとおいしい和食を出してくれる店主の方が
「当たり前にいいものを出すことで、少しでも熱海の街に貢献できればと思ってる」
と話してくれたことがあった。
ご主人の出身はもちろん熱海。
その背景には他所出身者がどんどん進出してきて、いわゆる“観光地値段”の
商売を大々的にすることで地元の評価が下がるのを憂慮してるのだ、とネルには思えた。
1個店がどんな商売をしようと、もちろん自由。
やはり観光地は自分たちの力で魅力を作り上げていく、地道な作業が必要なんだと思う。
でも簡単じゃないし、具体的に何から手をつければいいんだろうね~!
ただ、もともと名前が「朴念仁」=「物分かりの悪い者、気が利かない者」
の意味なんだから
ここは店を選ぶお客の側の店名リテラシー力だって、試されてるのかも。
もちろん今日の御代、全額ネル持ちでしたから!
<今日のお会計>
2300円・2名/せいろそば1050円、おろしそば1250円
<店を出て>
ネル:★★☆☆☆/色々と考えさせられる店
量の少なさ・値段の高さは藪蕎麦宮本と並んでも、内容は大きく異なる。
とはいえ他に修善寺で、首都圏から人を呼べるほど有名店があるわけ
でもなく。ネルが首都圏から来た客なら、もう少し満足度高かったのかも。
A氏:★★☆☆☆/こういう店も珍しいね
蕎麦店で味や量、品書きでまったくピンとこない店ってはじめてかも。
でも蕎麦通の人には良さがわかるんだろうね。
オレは正直…色んな意味でびっくりした(笑)
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