京06 石塀小路 豆ちゃ [京都・下河原通]
町家とは“鰻の寝床”に代表されるような、昔ながらの京都の民家・商家のこと。
5年ほど前にオープンした和食ダイニングの「豆ちゃ」は、
この町家スタイル店のさきがけ的存在、ってとこだろうか。
八坂神社から清水寺へ続く散策路を少し脇にそれた
石塀小路 (いしべいこうじ)を進む。
■石塀小路 豆ちゃ
京都市東山区下河原通八坂鳥居前下ル下河原町463-16
075-532-2788
予約していなければ相当入りづらい何気ない佇まい。
ランタンの灯の先、格子戸の入り口をくぐる。
店内1階は坪庭のあるぶ厚いコの字カウンター。
床から少し高い位置に立方体の座布団が置かれた掘り切りスタイル。
カウンターといってもコタツに滑り込むような気分。
2階には窓から八坂の塔が臨める座敷席、個室、カウンター。
和紙や障子・格子戸を現代風にアレンジしている。
メニューはお決まり、日替わり、お寿司、ワイン&BEER&日本酒&焼酎etc.と
豊富で選ぶのに苦労するぐらい。
「万願寺とうがらし」「湯葉」「水菜」「海老芋」など、京素材を意識したメニューと
一緒にサラダや揚物&焼物、デザートいった定番の居酒屋メニューも揃う。
男女どちらでも、世代を問わず好きなメニューが見つかりそうだ。
カウンターの板前さん、きちんとネクタイに帽子の白い板前着姿。
まだ30代前半と若そう。
この人が店長さんかな。
明るくまっすぐにこちらの目を見て話しかけてくれる。
純粋な料理人、というよりバーテンダー的親しげな話し方。
こんなのが気楽でいいや。
一見さんにきちんと接客しよう、としてくれる姿勢だけでもうれしい。
オーダーはなんだかんだで10品程度。
出汁は濃い目。ちょっと味が硬め?な気もするけど、この位ならおいしくいただける。
「出し巻き玉子」630円はぷるるっと、しっとり肌理細かい。
まろやかに味が濃い「海老芋」を炊いた出汁もなかなか。
味もボリュームも盛り付けも、居酒屋以上&料理屋未満な妥当な感じ。
「焼き油揚げと水菜」をさっと出汁にくぐらせた一品も追加オーダー。
出汁の風味とパリッと焼き目のついたお揚げがよく合う☆
これがネルの一番。
いわゆる京都の料理屋、割烹とは違うけど、居酒屋にしてはかなり上品、きちんと。
両サイドの常連らしいお客さんは、50~60代位のご夫婦二組。
慣れたやり取りからは、気遣いのいらないでもそこそこおいしい
便利な行き付け料理屋といった使い方に見える。
それに生ビール630円。料理もアラカルト主体で一品500円~と1000円以下が中心。
一見さんお断り、というかとても予約する勇気のもてない店だらけの
東山、石塀小路界隈でこの値段設定は希少なはず。
学生らしいメガネのバイト君も、院生バイトだと話しているすっとした女性も、
機敏に動きながらきちんとお客さんの目を見ながら接客している。
ネルたちの進み具合をみながら「お口にあいますでしょうか」と板前お兄さん。
そうそう、この立地と気取らない人とのギャップがいいのかもしれない。
一通り終わってお茶を、とお願いすると出てきたのは
フルーツの小皿+抹茶+芋ようかん。
えぇっ?、と驚いたけど、どうやらお決まりらしい手際の良さ。
うーん、女性ならこれぐらいやってくれたら納得しちゃうなー。
A氏、八海山安くていいじゃん、鰆の焼物もおいしいしさ、
と満更でもない様子。
いつも初見のお店では落ち着かないA氏。
それがネルの芋ようかんまで平らげてくれたんだから、
実はけっこう気に入ったんじゃないの??
えぇっ?白状しなさい!(笑)
<今日のお会計>
10397円・2名/お通し×2、おばんざい三種盛り合わせ 945円
汲みあげ湯葉と豆腐のサラダ 788円、海老芋の含め煮 893円
京の出汁巻き玉子 630円、鶏柚子つくね照り焼き 630円
鰆の塩焼き 788円、日向鶏のぽん酢から揚げ 840円
真だこの天ぷら 788円、京揚げと菜っ葉のお出汁 525円
生ビール 630円、グラスワイン(白) 525円
八海山(純米吟醸) 一合 1575円
<店を出て>
ネル:★★★★☆/手ごろな値段で気軽に京都気分を満喫できる
東京資本のお店のせいか、コストパフォーマンスも雰囲気作りもソツがない。
石塀小路の立地と料理の内容を考えればかなりお得感は高そう。
20~30代の若い人でやっているから、カウンターでも気後れしないのもイイ。
A 氏:★★★☆☆/へー、こんな店もあるんだ
ふつうの居酒屋だと思って入ったら、意外においしくてびっくりした。
酒の種類が豊富だし、八海山一合の料金も妥当かちょっと安いくらい。
使いやすい感じだね。
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