東07 カ・ノーリ [東京・恵比寿]
小学校と日仏会館に挟まれた坂道の大通りを下って7~8分。
一歩路地を入ると「○○商店街」と大書きされた昭和なアーチ状看板や
銭湯のド派手なのれんが揺れているのなんか、下町そのもの。
高級イメージのある恵比寿といっても、意外と昔ながらの暮らしは残っているみたい。
街灯と自動販売機の青白い灯りだけでぼんやりと照らされている十字路の先に
ぽつんと佇んでる緑の外観。
■CA NORI カノーリ [イタリア料理]
東京都渋谷区恵比寿1-33-8
03-3443-3780
店内はカウンター4席、二人掛けのテーブル席4つの12席とかなりこじんまり。
テラコッタ風の床に木の椅子とテーブル、壁には手書きの黒板メニュー。
コートは自分でハンガーに。
とってもシンプルで、飾らない空間。
でもかけられた真っ白いクロスは厚手で折り目もなくぴしっと、カトラリーレストも
使い込んではあるけどナイフもフォークもぴたっと置ける納まりのいいもの。
スタッフはキッチンとホールに一人づつ、
若い男性二人だけ。
はじめてのお店はコースでお願いしたいところだけど、ここのメニューはアラカルトのみ。
前菜、パスタ、メイン、デザートがそれぞれ5~10種類。
イタリア料理で全品自分でチョイスするのって、かなり久しぶりかも。
メインはA氏希望の短角牛ステーキと決めていたので、これに前菜とパスタをひとつづつ。
あとは気分で追加しようかな♪
ささっ、自家製ジンジャーエールとスプマンテで乾杯!
キリリとフレッシュな風味がおいしい♪
自家製パンは全粒粉ロールとフォカッチャ。
フォカッチャは塩気とオリーブオイルがすごく効いてる!
ここまではっきり塩&オイルを感じたフォカッチャ、はじめてかも。
でもね、これがおいしい。お酒がすすむおいしさ。。
全粒粉ロールも底がパリっと、伸びた中が柔らかくしっとりと。
甘みではなくきちんと小麦の香ばしさと風味が出ている。
わー、期待大だなぁ~ぁぁ♪
やってきました、前菜盛合せ。
生ハムがけっこう厚切り。
だからとろける感じはしないけど、肉らしい旨みがある。
…知らぬ間にテーブル席はいっぱい。
バースデイを祝っている20代後半のカップル、
会社帰りに待ち合わせしたらしい50代のご夫婦、
お互い企業の経営者らしい40代男性と30代女性の二人連れ。
席の間が身体を横にしないとすり抜けられないほど狭く、BGMも流れていないので
自分たちの会話が途切れる度、どうしても周囲の会話が耳に入ってきてしまう。
でもこれも東京らしさのひとつだよね。
店の狭さは承知の上、でもどうしてもここの料理を相手に食べさせたくて誘って来ている、
…感じがしたから(笑)
どのテーブルもどんどんワインを追加。
そうだよね、この味ならワインおいしいよ。
ネルもお酒が強ければ、もっと楽しみ広がるのになぁぁ。
続いてパスタ、「ガルガネッリ・仔牛肉のボローニャ ラグー」。
ギザギザで丸まったショートパスタ、ガルガネッリはシェフの手打ち。
むちむちっというよりは、もりもりっと噛み戻されるぐらい(笑)
ボローニャはイタリアの地方、ラグーはいわゆる挽肉。
またこれが丁寧に包丁で刻んだような、もりもりとした大粒ビーフで。
じっくり柔らかく煮込まれたすねや肩肉の繊維がホロホロと崩れて
しっかり粒コショウが効いた後からシンプルな牛肉の風味が追いかけてくる。
肉を攻略しながらパスタを食べ、また肉を口に運んで…。
肉とパスタは対等か、どっちかというと肉の方が存在感あるような。。
そうこうしてるうちに
「短角牛のリブロース 炭火焼」
ハイ、どぉぉーーーーーーーーーーーーん!!!
このド迫力!
片手を思い切り広げたぐらい、大きいヨ…
う~ん、厚さもなかなか
重さを尋ねると「だいたい350gです」とホールのお兄さん。
A氏の顔、ウレシさのあまり崩れてる(笑)。
この店はメインに魚はなくて肉のみで勝負。
他に選べるのは 白金豚Tボーン、骨付き仔羊ロース、骨付き伊達鶏。
白金豚も食べたかったけど、コレにしてよかった~
いよいよ、短角牛♪
サシの脂肪ではなく赤身のおいしさで近年注目の国産牛らしい。
そうそう、ネルは伊豆牛以来赤身好き~って、短角牛ってどんなのかな?
すっすっとナイフが入っていく。
噛みしめてすりつぶして、じんわり旨みが広がってくる。
レモンを絞って、もう一口。
ウハー、肉デス肉ゥ~♪
サシたっぷりの高級和牛の甘い、とろける、柔らかい…とは全くちがう、赤身肉の世界。
でも外国産牛のようなイヤな後味やアクはない。
肉汁も不必要に出てこない。身がつまってる。
外側に少しだけついた脂身を適量すくって一緒に食べると
ふんわりフルーティーな脂の甘さがまた赤身を引き立ててくれる。
これは間違いなく重め赤ワインだったーー。。
ハァァ。。
付け合せの炭火焼の筍は、別注文で。
穂先にすっと、真ん中も同じく繊維を断ってするりとナイフが入る。新鮮なんだと思う。
食べようとしたら鼻先に花の香が~ふわぁぁ~~
オリーブオイルの香り?筍の香り?ナンダなんだ??
食べたらナゼかトウモロコシの甘さ♪
わぁぁぁ、おいしいなあ~。。。
…うーーん、すごいなあぁ
当り前のことなんだろうけど、やっぱり東京だとこういう指向性のはっきりした店があって
きちんと支持されるのだ。
食べ疲れる寸前の噛み応え、しょっぱい寸前の塩と胡椒とオイル。
でもきちんとバランスがとれていて、ひとくちまたひとくちと食べたくなる。
自分が今何を噛んで食べてるのか、直球で実体を感じられる料理。
筍のおいしさに釣られて、有機野菜を使った「炭火焼 野菜盛合せ」を追加。
わっ、このボリューム。メインの前に頼むべきだったか。。
炭火焼といってもほとんど揚げ焼きに近い位、オリーブオイルがまぶされてる。
ナスの皮は揚げ物位完全にパリッと。
オリーブオイルに浸しながら焼いてるのだろうか。
ズッキーニもこんな風にして食べたのはじめてだけど、おいしい♪
元の野菜がしっかりしてるのだろうけど、最近流行のヘンに甘い野菜じゃないとこがいい。
もう少しお腹に余裕があれば、パスタもう一品と赤ワインも頼みたかったなぁ。
店の雰囲気からすればやや高くも感じるけど、その分客層も落ち着いて
食を楽しみたい大人が集まるの空間であることは見逃せないはず。
ワインの値段はたしかグラス700円~、ボトルも3000円代~と良心的。
レベルの高い味なのに、気取らずカジュアルに
アラカルトで好きな料理だけたっぷり食べられる。
東京って、やっぱり深いな。。
<今日のお会計>
11700円・2名・サなし/コペルト500円×2、前菜盛合わせ1850円
ガルガネッリ・仔牛肉のボローニャ ラグー1700円
炭火焼・短角牛リブロース4100円、付け合わせ筍350円
炭火焼・野菜盛合わせ1500円
自家製ジンジャーエール500円、スプマンテ700円
<店を出て>
ネル:★★★☆☆/質実剛健、気取らず男らしい贅沢
カップルでも男同士でも、食の好みを分かった相手と訪問すると最高に楽しめそう。
体調を整えてオイルや香辛料の濃さもガンガン豪快にワインと肉料理を味わいたい。
お手頃とはいえないけれど、恵比寿に行くときあればまた行ってみたい。
A氏:★★★★☆/アハッ、ウマイ♪
店の人に構われないし、カウンターもあるし。男一人でも行けそうな雰囲気。
肉メインでおいしかったし、内容からしたらパスタもステーキも高くないと思う。
味が濃いのも俺は良かった。気に入ったよ~
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