宿08-2 アルカナ イズ_ディナー
ディナーの予約時間が迫ってる。
ここぞとばかり、お気に入りのダイアン・フォン風ラップワンピースに着替えておめかし(笑)。
普段なかなか出番のない服だからウレシイ♪
A氏も春らしい、明るい色味の革ジャケット着用。
お風呂上りのディナーはカジュアルな格好のゲストも多いだろうケド、
ここはやっぱりレストランとスタッフのみなさんに敬意と期待を込めて…、おしゃれモードで☆
別棟にあるレストラン「リュミエール」。
建物入り口前には夜風に吹かれながら、既に担当バトラーさんがスタンバイ。
「○○さま、お待ちしておりました」と笑顔でお出迎えしてくれる。
この宿ではスタッフがレストランや客室等とかっちり役割分担せず、ひとりで複数の作業を横断して担当する
最近スモールホテルで主流となりつつあるスタイルをとっているよう。
シャープな造りはまるでどこかのモダンな美術館のよう。
奥に深いレイアウトは印象的なカウンターが一直線に貫き、
フレンチでは相当珍しいはずのオープンキッチンスタイルを採用。
視線の先、バックカウンターは圧巻の全面ガラス張り。
妖しくライトアップされた森の木々が闇夜に浮かぶ、神秘的な光景が広がっている。
う~ん、イヤでも気分が高揚する仕掛けが満載♪
規模は違うけどガラスの向こうの闇夜の眺めは、静岡なら浮月楼のライフタイムの雰囲気が近いかも。
席は一段上がったオペラシートとカウンター席とどちらかお好きな方を、と聞かれて
一瞬悩んだもののシェフの動きが楽しめるカウンターに決定♪
担当バトラーさん、ひざ掛けお持ちしましょうか、と細やかに気配りしてくれる。
用意されているテーブルセットの麻のナプキンやクロスの選び抜かれた上質感だけで、もうワクワク♪♪~
部屋で打ち合わせをした、スマートなソムリエさんが登場。
話しやすくてワイン以外にコースの料理について質問したことにも
それぞれ分かりやすく答えてくれる。
私はお任せのカクテル。
濃い果実感とほど良い酸味と爽やかさがあって、甘すぎず食事にも合いそう。
ここで飲料は食後のカフェを除けばミネラルウォーターから別料金。
ワインはグラスで2000円ぐらいから。。
静岡ではなかなかそこまでのレストランはないけど、ここまできたなら覚悟を決めましょうとも(笑)!
セレクトする皿もすんなり決まり、食前酒で口を潤して
いよいよ “La terre IZU 伊豆の大地” の コースがスタートです~♪
一口のお愉しみ
ガラスの器に品よく盛られた、冷たいトマトの一品。
これがコクのあるとても果実味豊かなトマトで、この後もトマトを使ったメニューがたくさん。
稲取沖の金目鯛のカルパッチョ 春草風味 黒オリーブ・茄子・トマト 地中海をイメージして
伊豆でお馴染みのキンメダイ。
軽く焙ってパリッと焼けた皮が最高!
くやしいけど今まで伊豆で食べてきた煮付や刺身のキンメより、よっぽど美味しかった(笑)
大自然・伊豆の輝き リュミエール・アルカナ・イズ スペシャリテの一皿
私が追加料金で頼んだ、50種類の野菜プレート。
出てきたときはあまりの大きさと山盛り緑に、サラダピッツアかと思ったほど(笑)。
珍しい西洋野菜や季節の露地モノなど、フレッシュ・ボイル・グリル・フライなど
いろんな調理法でカラフルに50種類を盛り込んでいる。
全粒粉パン、フランスパン、カンパーニュ等3~4種+トマトペースト
いいタイミングで出される小ぶりなパン。なくなればすぐ追加してくれる。
宿で焼いているそうで、どれもおいしい。
で、おいしいのがバターの代わりに出される、トマトペースト!
もちろんレストランオリジナルの手づくりペーストだそうで
濃厚なトマト&数種の野菜エキスとスパイスのバランスがよくて、喉越しもいい。
これってすごく納得。
フレンチでただでさえ胃が重くなりがちなのに、パンのバターで更に重くなるのって
身体ににやさしくないものね。
この辺は新しいフレンチならではの発想だろうし、実際食べておいしいからすごくしっくりくる。
お土産で買って帰るゲスト続出だと聞いて、またまた納得。
‘春‘ 出始めた貝類のグリエ ういきょうのエミュルション グリーンアニスの香り
ホタテがメインのグリル。
ういきょう=フェンネルと甘草のようなグリーンアニスを使ったスープが一緒に。
この魚介エキスがつまった風味濃厚なスープがすごく印象的。
やっぱりフレンチって一つの皿に色んな食材が入って手間がかかるし、
仕込みも食材を合わせるタイミングも大変そうだな~と改めて感心。
香味オイルでポシェした富士の鱒 モリーユ茸のフリカッセと卵黄の球体ソース
ここで地元名産のマスが登場。
首都圏から来た人は喜んでくれるかな??
卵黄がのったアンチョビソースがすっごくおいしい♪
この卵黄もやたらにコクがあるし。。
ここまで食べきて、どれも予想外に“味の輪郭”がハッキリしているのに重くないのにびっくり。
塩やバター・生クリームでなく、素材の持ち味を凝縮して表現することに神経を張り詰めてるというか。
野菜がメイン、と謳うと料理店だと身体にはやさしいけど物足りないとか印象が薄い気がするけど、
このレストランははっきり皿の方向性が出るまで、完成度を突き詰めてそう。
ふ~~~~ん、
最近のフレンチってそういうものなのかーーー。。。
それにとにかく店内にスタッフがたくさん!
担当バトラーさんや複数人のサービススタッフ、ちらっと視線を上げただけですぐに気付いて
料理説明やらパンの追加やら、何くれとなく世話を焼いてくれる。
おかげで食事がとっても楽しい♪
空になった皿を適切なタイミングで下げてもらえるのだって、実はものすごく気持ちのいいことだし。
これはもちろん、ネルたちがスタッフとの会話を楽しみたいと思っているのを汲んでのことだと思う。
そっとしておいてほしいゲストにはそれなりの対応をきちんとしてくれる気配が、はっきり伝わってくるし。
この日のゲストの入りはざっと見、半分くらい。
一方レストランにいるスタッフは、ホールとシェフや厨房スタッフも含めれば15人以上位はいそうな雰囲気。
ごく単純な計算ではこの日のディナーは1ゲストにほぼスタッフ1名、になってしまいそう。。
この手厚い人員配置も普通のレストランと高級レストランの根本的な違いなんだろうな。。
スパークリング OREZZA オレッツア
途中ガス入りミネラルウォーターを追加。
フランス・地中海のコルシカ島の天然発泡水。いただくのは初めて。
気泡が繊細で後味すっきり、爽やかさではいつものペリエより断然おいしい☆
ラベルデザインもステキだし、これにしてヨカッタ~
続いて出されたのは優雅なS字カーブが美しいライヨール・ナイフ。
ふふっ、いよいよメインの皿が登場です~♪
こんがりローストした仔羊背肉と腿肉の低温キュイ 温かい南仏野菜のサラダ添え
手前のロールされた二つが背肉、パン粉のようなのがまぶされたのが腿肉。
どちらも瑞々しい、あっさり具合。
ひらい牧場産 伊豆牛ロース肉のポワレ 牛テールのソース いろいろ伊豆野菜の付け合わせ
A氏が追加料金でオーダーした伊豆牛。
もともと伊豆牛☆大好きなネルたち。伊豆旅の帰りはいつも大仁のひらい精肉店に寄り道して
グラム200~300円の伊豆牛切り落としやコマ切れを大量購入してるから、
こんな改まった端正な姿の伊豆牛とご対面するのはなんだか…こそばゆいナ(笑)
ロース肉は相変わらずのおいしさ♪
とくに牛テールのソースが濃厚でおーいしーー♪
やっぱり自宅でいただく伊豆牛とはひと味もふた味も違います(笑)
あーー、でも家ではもっとガッツリ量を食べられるからなぁ。。。
あっという間に空になったお皿。
フロマージュはいかがですか、と勧められるけどもうワインて気分じゃないし…とパス。
次はデザートかな~とのんびり待っていたら、ふたりのクロスの真ん中に
丸いプレートがいきなりスーッと!
しかも席の周りを4人ぐらいのスタッフにぐるっと囲まれて一斉に超笑顔で、おめでとうございます!の言葉も一緒に。
うっわ~~~~、アリガトウゴザイマス(…感激)。。
初めての滞在だし、ここまでしてもらえるとは本当に予想してなかった。。。
気恥ずかしいけど、やっぱりウレシイ♪
ふうつのお店でバイトの子に言われても嬉しいけど、やっぱりこういう場でサービスのプロの人たちに祝ってもらえるのは格別。
あー自分もオトナになったんだなぁ。。。ってしみじみと思ってみたり(笑)
おいしいチョコレートケーキのプレートはこれだけでも十分満足♪
でもコースのデザートもしっかりいただきますよ~
焼いてないのにカリカリする黄金柑のクレームブリュレ 流れ出るジュースと伊豆蜂蜜のアロマ
地元産キンカンの爽やかさとクレームブリュレのとろっと甘いクリームがぴったり。
さくさくしたシャーベットもおいしい。
食後の飲み物はいろいろ選べたけど、ひと息つきたくてコーヒーで。
奥から何度か豆を挽く音が聞こえてたから、ちょっと期待♪
カップが大きめで、たっぷり飲める。
うわーーーー、おーいしーー。。アイスなのにきちんと苦味も風味も香りも、全部ある。
好き嫌いは分かれるかもしれないけど、エスプレッソの水出しって感じ???
普段飲んでるアイスコーヒーとは確かに違う。。
こういうの普段と同じモノが違うのが、やっぱりステキだなぁ。
はぁ、十分満足したけど、ラストスパート♪
伊豆の香りの一口小菓子
ワンプレートに2人分が可愛く盛られて登場。
抹茶ムース、ガナッシュチョコと紅ほっぺイチゴ、チーズケーキだったかな?
紅茶と迷ったけどブレンドコーヒーでちょうどいい感じ。
ふーーー、ここまで2時間30分ちょっと。
たくさん食べてお腹いっぱいなんだけど、息苦しさはないというか。
料理のポーションは少なめだし、こってりしたものも少なかったからかな。
いつでもガッツリ食べたいA氏、「オレもお腹いっぱいになったよ」と満足そう。
でもその満足感の半分は、若いスタッフのかいがいしい接客にあるような気がする。
やっぱり接客って、大事だな。。。
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