066 昇菊 [静岡・両替町]
仲良くなった飲みともだちが何人も
あそこがいいよ、と口を揃えて連れて行ってくれた、昇菊。
ちょっと高いけどね、と言いながらその顔は皆ウレシそう。
誰だってやっぱりおいしいお店が好きだもんね♪
■季節料理 昇菊 [小料理店]
静岡市葵区両替町2-3-3
054-272-0701
両替町通を青葉公園通に向かって上がって
タバコ屋さんのある交差点少し手前。
ステーキ・ブルのある「青葉小路」の真ん中あたり。
揺れる白い暖簾のガラス越しに、店内がのぞける。
あっ、今日は席空いてそう♪
ラッキーだな。。
年下の女性と、ふたりだけの食事会。
だからどうしてもこの日は、料理がおいしいお店に入りたかった。
カラカラ、と引き戸を開けると
狭い店内はカウンターのみ7席と板場だけでギュウギュウめいっぱい。
イスをひけばすぐ壁。
市場横の仲卸人ご用達寿司店、がイメージかな?
カウンター前には使い込んだショーケースやタッパーに入った食材が置かれ、
けっこう雑然とした雰囲気。
席に落ち着くとカウンターと大将越しに、
壁下がりの食器棚の扉にずらっと張り出された、手書きの墨文字のお品書き。
朱の字で「温物」「焼物」「造り」・・・
もう、この文字がうれしい。。
やっぱりね、できれば外では季節の走りの素材を、好きな調理法で食べたい。
ネルにとってはそれが一番の贅沢。
この日は3月の終わり。
筍、焼きはないけど炊いたのならあるそう。
ヤッタね♪
同行の彼女は併設のバー、Wild Woodには来たことあるらしい。
昇菊が満席だとWild Woodに通されて、
ここで昇菊の料理を注文、いただくこともできる。
ネルもWild Woodに通されたことがあったけど、やっぱり昇菊で大将の仕事を
みながら感心しつついただく方が楽しい♪
まずは煮こごりのお通し。
キリっと酢が効いてるのにやさしいし、調和した必要な味だけがふわっとひろがって。
見た目なんてことないのだけど、違うレベルの仕事。
そっか、いろいろ遠回りしなくても
ここがあったよね。
「菜の花の昆布〆」。
からひょいひょい、とよそってくれる。
大将自らその都度、かつ箱でごりごり挽いてくれた厚削りのかつおぶしも乗って。
わーーー、これもいいよ、
いいなぁぁぁ…
ダシとかつおぶしと昆布の風味と、菜の花の春らしい苦さと。
あーーもう、たまらない!!
スラリと太刀魚のような包丁で寡黙に、素早く仕事を回す大将。
目つきはするどいものの、こちらを緊張させるような雰囲気はなく
どちらかといえば優しそうな面立ち。
身なりも肌も、白くキリリと引き締まっている。
常に板場は丁寧に畳んだ台ふきでキレイに、割烹のそれのように
整理整頓しながら次々と仕上げていく。
お任せで頼んだ「造り盛合せ」。
鰹がおいしい!マグロみたい。
どれを食べても、いい。
あしらいの青海苔もニンニクも若布もネギも、ふーーー、良過ぎる(笑)。
そして温物で頼んだ「岡部産新竹の子」。
このダシがまたぴたっと香り高くおいしくて。。
ここにも厚削りの削りたてかつをぶしがほわっとたっぷり。
筍の歯触りもバツグン、香りも甘みも十分で口中が春爛漫~♪
途中隣に座ったお一人様のスーツ姿のオジサマ。
常連さんらしく大将に浜松から買ってきたという手土産を渡している。
だんだん酔いが回ってきて、声も大きく周囲に話しかけはじめる。
それが今度はネルに。
「あのさ、俺は子どもに金残さない主義なんだ」
「そうなんですね。お金は、どうされるんですか」
「決まってるじゃん、ここでおいしいもの食べて使うの!
あんたも俺ぐらいの年になったらわかるよ 」
ますますご機嫌のオジサマ、今度は反対隣のカップルと軍歌を熱唱しはじめて。
ホント、楽しそう。
アハハハ、と笑って眺めてるネルたち。
なんかこういう感じ、久しぶり。
こういう店に自分から行こうよと人を誘える時期が、どうやらネルにも来たみたい。
あの頃から成長したのかな、私…
また飲みに行き始めても
いい頃なのかな。。
<今日のお会計>
8000円・2名/お通し×2、菜の花昆布〆、造り盛合せ、岡部産新竹の子
鶏塩焼き、蓮根漬け焼き、アスパラ塩焼き
ジントニック、赤ワイン(G)
<店を出て>
ネル:★★★★☆/春の京都と変わらない満足感
コースがないのといっぱいで座れない時が多いのが残念だけど、
ダシ、焼き物、旬素材が好きなネルにはたまらないラインナップ。
京都で行ったカウンター割烹とも遜色ないおいしさ。
_